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建築家・安藤忠雄の記念講演【生きる力】 [評論&講演]

6月9日、この日は京都工芸繊維大学の創立記念日で、今年で6回目となる建築家・安藤忠雄の講演会が大学内のホールであった。
現在76才の安藤氏の【 生きる力 】とは、【 自分の頭で考える知的体力と自分自身の体力で生きていけ! 】ということだった。

以下、講演でのメモを基にまとめてみました。

私はたまたまこのイベントを昨年知り、今年は2回目の参加となった。古山学長の前置きの挨拶の後、安藤氏の講演が始まった。先ず、舞台中央のスクリーンに【 100 】という数字が現れた。


【 100 】
人生100年ー3年前に膵臓を摘出する手術をしたとあっさりと言われるが、いつもの関西弁丸出しでポンポンと早口で次から次へと話を続けていかれるエネルギーにびっくりさせられる。実は、安藤氏は膵臓だけでなく、脾臓、胆管、胆嚢、十二指腸と、全部で五つの内臓をこれまでに摘出していると言う。

「 合計5つの内臓を失くして、なぜ生きられるか? 」 「それは目標を持って生きるからだ!」と力強い。

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話は1968年へと遡る。
「 皆さん、1968年の5月革命は知っていますか?」「はい!(どうぞ)」と挙手を会場の人々に促される。会場の聴衆から、パラパラと手が挙がった。
「1960年代というと、日本では安保闘争がありましたね。」
「フランスで5月革命があった時は、私はパリにいた」ー これは初耳でした。
「その頃、1日5時間本を読んでいた。ヘミングウェイの『老人の海』『武器よさらば』などなど、、。
また、大江健三郎の本も。例えば、『箱男』も読んでいたが、さっぱりわからん。」 それでも、そのままにしておかず折々に挑戦して読み直されたとか。


昨年の話にはなかった安藤氏の若き頃の姿が垣間見得て興味深かった。1日5時間も費やすほど読書家だとは意外でした。若き頃、ヨーロッパを放浪(遊学)されたことは以前から知っていましたが、当地で建築物や建築関係を幅広く研究、吸収されたのだろうくらいにしか想像していなく、やはり後々成功する人は探究心が深いのだと思い知らされました。しかしながら日本を離れたかの地で本に読み耽り、自分には理解できないものに格闘する姿はその後の安藤氏の仕事や生き方にそのままに重なりました。


「人生で何か起こったら、諦めずに次のことを考えたら良い。」という言葉も印象に残ります。



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【青いりんごの絵】がスクリーンに映される

人間は「生涯、青い(青臭い)ままの方がいい」との言葉の後に、同じスクリーンに私の知らない画家、美術家の方が2、3人紹介された。(講演会の後、ネットで検索してみたが)一人は白髪一雄という画家で、なんと足で絵を描く一風変わった人、また松谷武判という美術家は、40年経ってやっと自分の作品が売れるようになったと紹介された。この方達と安藤氏に共通するものは、人の真似はしない、他人には媚びない、というところだと思う。自由に生きる、生きられるというのは素晴らしいことだと思うが、自由にはリスクが伴う。安藤氏もこの紹介された芸術家たちも、自分を貫くリスクをどう克服されるのか、されたのか気になるところです。私のようなものは、そのぶれない気持ちをどう保つかが課題なのですが。


この辺りでも再度、「1日に5時間は本を読まんといかん。」と繰り返され、「自分の知的体力と自分の体力で生きていくのが大事」と強調される。

この後、直島に作った美術館に絡んで、小泉元総理や画家のリチャード・ロングなどの人々のエピソードもユーモア交えて話された。


後半に近づくと、自分の若い頃を、建築専門の学校も大学も出ていないし、経験も頭もない、50人クラスで下から3番目をキープしていたと表現されつつ、今の若者たちへの危惧をストレートに舞台からぶつけておられた。安藤氏の世代は90,100才まで生きられるだろうが、今の日本の若者は添加物のたっぷり入った食べ物を食べているからそこまでは生きられないとの考えを持っておられる。他国、取り分けアジアの若者は【生きる】ことに熱意がある。これからの時代は世界は1つということを認識するのが大事。この日本だけのことを考えていてはいけない。若者を発奮させるために、安藤氏の建築のクライアントで80才を超える方達の年齢を超越した心意気や目標を披瀝された。

建築の仕事で、お金や成功は関係ない、今がワクワクして楽しければいい、と言い切られた。本や建築も同じで、同じように見えるけれど、その時によって見え方が違う。時間をかけ、体力をかけて対しないといけない。


「組織や家族、人間は必ず老化する。私ももうすぐ76才」と言われる安藤氏の【 生きる力 】とは、【目標を掲げ、知的体力と肉体の体力で切り開くこと】だと自身の信念を力強く語ってくださった講演でした。


自身を振り返ってみると、日常にワクワクするようなことがほぼない状態に陥っていることにまた気付かされ、仕事や毎日の繰り返しで自分の本心が喜ぶことを見失いがちだと反省した次第です。


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