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BS放送『林修・世界の名著』 「人間の絆」を小野正嗣氏と語る [芸能やエンターテイメント]

『林修・世界の名著』は、毎週木曜日に林氏がゲストを招いて一冊の本を語り合う番組です。
今回は6月23日(木)の朝刊で、本の題名がサマセット・モーム著『人間の絆』だと分かり、見過ごさないようにしました。


ゲストの小野正嗣さんのことは全くどんな人か知らなかったのですが、後からネットで見ると芥川賞を取った作家で新聞記事で見ていたのか見覚えのあるお顔でした。


先ず、林氏はこの長編小説を何と20回読んでいると知りびっくり!5回と言ってもすごいと思いますが。この本は彼の青春時代とダブルものがあるということで、興味も湧きました。主人公のフィリップの幼い頃から30才頃までの成長を描いたいわゆる教養小説ですが、私にとっても青春時代に本の面白さにはまった一冊と言えます。番組の中で、4冊の文庫本となっているように見受けられましたが、私が読んだ高校三年時には、あれは岩波文庫でしょうか、新潮社でしょうか、それ以上の冊数の文庫本を次々と貪るように読んでは買っていったのを覚えています。ベージュ色の表紙にピンク色の帯が付いたもので懐かしい思い出です。家は豊かではなくこれと言ってお小遣いは貰っていなかったので、その都度数百円?ほどもらっていたのでしょう。ともかく読み始めると、年齢もかぶり、自分より一足先に青春時代や成人を生き抜く若きフィリップの人生経験、彼を取り巻く人間関係に惹きつけられていきました。林氏は、主人公が足にちょっと障害のある、コンプレックスを持つ点で共感を覚えられたとか。いつの頃からか肥満コンプレックスを持っていたと告白されます。この本との出会いによって余りに自己投影され影響を受けられたのか、主人公が青春を翻弄される悪女ミルドレッドにそっくりの女性に、やはり出会って翻弄された経験を小野氏に語るところは、番組の中でのハイライトでした。小野氏はこの本を読み、印象付けられたことで、林氏がそういう人物や事象を引きつけたのだと解説されたところでは、成る程面白い解釈で、小説家らしい言い方だと思いました。しかしながら、林氏がミルドレッド似の現実の女性に一時期翻弄されても翻弄され尽くさなかったことは本の効用だと自覚され、小野氏もそれを認めておられたのは同感です。さらに付け加えれば、林氏は、フィリップのように若き頃投資で大きな失敗をした苦い経験があり、正にこの本はじぶんの青春時代をなぞることができる、ある意味味わい深い教訓となっていると思われます。しかし、改めて言いますが、同じ本を20回読む林氏の丁寧な読書力、根気には感心します。

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このお二人の軽妙なやり取りを見ながら、何十年もの前の十代の私の当時の生活や、受験期の最中この本に嵌った心情を思い出して淡い感傷を味わうことができました。授業中、少しでも早く家に帰って話の先を読みたいと夢中になっり、自分とは異性のフィリップが人生や女性に揉まれていく有様に様々な感情を抱いて読み進めていった自分が蘇ります。


コンプレックスを持たぬ人などいないでしょうが、何らかのコンプレックスを抱え人は生きていきます。家庭環境、学業、人間関係、特に異性関係の問題、自立のための経済問題、フィリップがこれらにどう向かい対処していくのか、あるいは対処できないかは自分の人生と照らし合わせると実に興味深いものがあります。


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今回の番組では全く触れられていないことですが、余りに遠い昔に読んでいて、正直本の中のいろいろな場面、描写は浮かばなかったのですが、ある1つのことが浮かび上がってきました。それは主人公フィリップが絵画を学んでいた時に知り合った若いスペイン人の青年のことです。その青年に対する描写を読んでいた時、フィリップの、いや作者のモームの嗜好というかある種の性癖を感じたのです。いわゆるホモセクシャルな傾向を十代の私でも確かに感じ取ることができました。青年の描写にまるで恋人を描くような熱っぽさが感じられたのです。記憶違いかしれませんが、モームには確かその傾向があったやに記憶しています。余談ですが、少年、青年に限りますが、確かに西欧人の中にはそうなるのも自然かなと女性の私でも容易に思えるほど、
女性のように、あるいは女性以上に鑑賞に耐えうる美しい男性が現にいます。


さてさて、長編の物語の最後、フィリップはそれまでにあった女性とは対極にある明るく溌剌とした健康美人を選んでハッピーエンドを迎えます。 作者モームは当初ハッピーエンドの予定にするつもりはなかったようですが、女性の読者の要望に応えてこの終え方にしたと読んだ記憶があります。こうした結末に現実になるかは別として、読者、特に女性としてはこういう締めくくりがあるとほっとして本を閉じられるのも事実です。

この番組の副産物として、小野正嗣という作家の存在を知ることができ、芥川賞受賞時のインタヴュー記事から中々面白そうな人だと思いました。機会があれば、彼の本も一冊読んでみようかと思います。


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建築家 安藤忠雄講演会 『夢をつくる』・・・6月3日 [評論&講演]

最初に。
今回のブログは直近の講演会へのコメントではありません。メモ帳に少し書いていたものを読み返し、自分の為の記録としているので、お気楽にお読みください。

5月末に、よく使う地下鉄の構内の壁に貼られたポスターに目が留まった。来る6月3日(18:30~20:00)に京都工芸繊維大学であの有名な建築家安藤忠雄氏の講演があるというお知らせだった。テーマは「夢をつくる」で、「夢を語る」や「私の夢」とかいったものでなく、「つくる」という言葉に関心を抱いた。言葉とは大事だなと今回も思った。

無料講演だが、17:00から整理券配布ということで、多くの聴講者が予想されるとわかった。17:30頃整理券を受け取ると、【463】番目だった。


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さて、定刻通りに講演会が始まり、メディアで何度も目にしてきた通りの安藤氏が例のマッシュルーム型のヘアースタイルとジャケットで舞台に上がられた。紹介の言葉で、工芸繊維大学での今回の講演はなんと5回目になるということでこれ迄情報を逃していたのが惜しまれた。その時、7月9日(土)16:00-17:00に、TBS、MBS系テレビ番組『未来に生きる建築家』に出演されるお知らせがあり、楽しみにしているところです。

講演中、時折メモを取りましたが、書いた私さえ一部しか蘇って来ないのが残念だが、まとめてみました。
お話の根幹は、『夢をつくる、育てる大切さ』でした。
これが安藤氏のこれ迄の、そしてこれからの人生を貫く価値感、値打ちになっておられると感じました。出だしで、今の人、若者に対し「【夢見る力の劣化】が心配だ、夢を育てるのは自分の力だ」と語られ、75才の安藤氏は自分にはこれからまだまだ夢があると熱く語られた。

先ず、ステージ上に設けられたスクリーンに【100】と大きく映し出され、日本ではこれから人生100年という寿命のスパンで生きていく可能性があるという前提で始められました。その後も次々と(全部は網羅していないのですが)キーワードを次のように提示しながら、安藤氏が説明していかれました。

【独立自尊】→【自由・勇気】 → 【出会い】 →【教養・野性】といったワードです。

出会いでは、人・物・自然との出会いをキャッチする、と言われました。

途中、パンテオンの写真を聴衆に見せられ、20代の頃ヨーロッパ放浪をした時のパンテオンから強烈なインパクトを受けられたことを知り、同じく20代で初めて訪れたヨーロッパ、イタリアで見たパンテオンに強く感動した私は氏に共感を覚えました。建築や建築学には全くの素人ですが、パンテオンのあのスケールと構造の美しさに圧倒されたことは今でも鮮明で忘れられません。

ルネッサンス期のかの有名な画家ラファエロが、自分が亡くなったらこのパンテオンの中に埋葬してほしい、とまで熱望した通り、彼の墓は内部の壁に寄せられて作られていました。当時の人たちにとっても憧れのパンテオンに生前の望み通りに埋葬されたラファエロは何と幸運な人でしょうか!


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話を戻すと、安藤氏は【教養・野性】のワードの時に、これ迄の多数の作品群を写真を見ながら手短に説明された。そこで何となく氏の言わんとする【野性】という価値観が伝わって来た。初期の有名な【光の教会】、小さな島に敢えて造られた美術館(ベネッセアートサイト直島・地中美術館)、北海道の広い平原にいきなり出現したような頭大仏、同じ敷地内でわざわざ傘を差して往来しないといけない住居等など。氏の言われる【野性】とは、自然との共存、社会通念を排除する大胆な発想と同じ意味になるのでしょう。

生の講演会とは、メインの話以外のちょっとしたエピソードや雑談の方が意外と興味深かったりするものだが、今回も安藤氏が関西人の面目躍如といった感じで、とてもユーモアのあるてらいのない人だと分かった。
例えば、
① 新国立競技場の審査委員会で委員長を務められたことでは、「あいまいにこういう役は引き受けたらいけないですよ」と言われたり、
② このオリンピック関係の記者会見に5人ものボディーガードを伴って出かけた件で、実は、建築現場にいる体の大きな人たちを5人選んで連れて行っただけです、と言われ、

③ 設計の打ち合わせをする際は、相手の言うことをふん、ふんと聞いてはいるが相手の言うことを聞くことはない、と言われる。自分の面白いことを考える。自分は、日本人だということに誇りを持っていきたい。自分に誇りを持つとは、自分の家族、国に誇りを持つ、ということだと言われる。国際的に活躍する人でこういう自然な愛国心のある人だと安心して話が聞けます。

紹介の時も、安藤氏自らもご自分が2014年にガンが見つかり、膵臓と脾臓を全摘する手術を受けられたことに触れられた。抗がん剤治療も受けられた様子だが、確かジムにも通い、体を鍛えられたとか。そのメンタル、そして体力には恐れ入りました。普通人ですと、70代半ばで手術を受けたりするとがっくりしそうですが、これからやりたい色々な夢があると仰る生き方は、若者にも私たち年代のものにも大きな灯台になります。

今回、講演の中で一番心に残ったのは、「一生覚えている事を半年に一度はしないといけない!」という言葉でした。それだけ感動のある事を繰り返す、ということでしょうか。7月9日のテレビ番組も楽しみです。



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