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映画『ハクソー・リッジ』••••• メル・ギブソン監督による沖縄戦(前田高地)の実話 [映画]

【 戦後72年目を迎える沖縄戦の映画 】

日本が、来月8月15日で72回目の終戦記念日を迎えようとしている時、日本軍と米軍が死闘を繰り広げた沖縄戦での実話を描いた映画が、あのハリウッド俳優メル・ギブソン監督(映画「ブレイブハート」主演)によって製作されていると知り、映画館に出かけた。


【 主人公エドモンドの真の勇気 】

主人公エドモンド・ドスは、第二次大戦後(1945年)に良心的兵役拒否者としては初めて、軍人として最高の栄誉勲章をトルーマン大統領から授与されます。正確にいうと、兵役を拒否したのではなく銃を触ることさえ拒否した衛生兵として従軍したのです。。映画では、エドモンドが聖書の中の「汝、殺すことなかれ」の戒めを少年時代からいかに信仰、信念として持ち続けたかを描いていて、自然と理解や共感はするのですが、入隊後猛烈な暴力的いじめにあったり、上官から強く除隊を迫られたり、軍法会議では危うく刑務所行きになりかける事態の中でも、決してその信仰、信念を曲げなかった勇気には驚きました。後になって上官のグローヴァー大尉は、「痩せた臆病者」と思っていたが彼こそ真に勇気のある人間だと認め、深く謝ったのです。


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【 そもそも「ハクソー・リッジ」とは? 】

「ハクソー・リッジ(Hacksaw ridge)」とは、直訳すると「のこぎりのような尾根」の意味で、沖縄の浦添市にある「前田高地」を指しているとわかったのはネットのお陰でした。米軍の師団が高地に立て籠もる日本軍と戦う中で、150メートルほどの崖を6回登って6回撃退されていた最中に、エドモンド・ドスが属する部隊は初めてこの崖を目にします。第77師団の衛生兵エドモンドは、高地の上で軍艦からの砲弾(艦砲)や雨のように降り注ぐ銃弾、火炎放射、手榴弾の中を本当に丸腰で動き回ります。あゝ、なんという恐怖! 命からがらとはこのことです。こんな体力、気力は持ち得ません。戦争映画を見るたびに、「あゝ、矢張り女に生まれたほうがいい!」とつくづく思ってしまうほど自分に度胸や自信がないことを思い知らされますね。


【「人は殺さない」信仰と戦争への参戦】

彼のセリフの中に「真珠湾攻撃を聞いて、自分も入隊したいと思った」とありますが、これには日本人の私としては微妙な感情が生じますが、太平洋戦争の真の経緯は当時のヴァージニア州の田舎に住む一庶民の若者には知る由もないでしょう。彼は「汝、殺すなかれ」を説く聖書の教えに立って、「人を殺す」ためでなく、「人を救う」ために従軍に自ら志願するのです。ここで注目すべきことは、彼自身もかれの信仰するセブンスデー・アドベンチスト教会(Seventh-day Adventist Church)も、戦争そのものには反対の立場ではないということです。
映画では、「みんなが次々と入隊していく中で、自分だけが家にいるなんてできない」という言葉を言っていました。信仰として「人は殺さない」、だから「銃には触れない」。戦争には「人を殺す」為でなく、「人を救う」為に行くのだ、という考えです。一方で、国家が戦争状態になったら、自分は当然参戦する、というのです。これは、国家として自立できていない今のお仕着せ憲法を遵守だの、戦争よりも常に対話を!協調を!と空論を声高にいう腰砕けの連中に聞かせてやりたい言動です。


いつ殺されるかわからない修羅場の戦場で、本当に丸腰状態で仲間の負傷した米兵を探し回り、励まし、一人ずつ高台から崖の下まで「もやい縄」で降ろしていくエドモンドの行動には圧倒されます。強い信仰を持ち、「神様、もう一人、あともう一人だけでも救わせてください」と、疲労と恐怖の放心状態になりながらもつぶやく姿は崇高な感じがしました。エドモンドを演じたのは、最近日本でも注目された映画「沈黙」で主演の若手俳優アンドリュー・ガーフィールドですが、今回も信仰に生きる若者を違和感なく演じています。「ハクソー・リッジ」の方が、時代も現代に近いアメリカ青年役なので適役だったと思います。


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【 映画全体と監督のメル・ギブソンについて】

今回ネットで調べて見ると、監督をしている有名俳優メル・ギブソンはカトリック教徒だと分かり、随分前にアカデミー賞を幾つも獲得した「ブレイブハート」を思い返して見ると、今回の作品とも共通して成る程こういう心情を持った人なのかと思える作り方やシーンが蘇りました。「ハクソー・リッジ」では先ず、エドモンドの故郷ヴァージニア州の自然風景がまず出てきます。岩山は少年時代から楽しく遊びまわった所でしたが、青年になって戦場に赴いた時は、険しい前田高地の断崖となって生死を分ける地獄の場所となって出現する巡り合わせ。エドモンドが命懸けで神に祈りつつ75人の兵士を救い出した後、自分も負傷して担架に担ぎ込まれ、崖から空中に吊るされて降りていく場面は、空中に浮かんだ担架のエドモンドだけがアップになり、まるでエドモンドの行為が天上の神に祝福を受けているかのようなカメラワークであった。これは、「ブレイブハート」の最後に、主人公ウォレスが服毒死を拒み、壮絶な拷問死で息絶えていく途中の幻想的シーンと被さりました。ウォレスははっきりとしたキリスト教徒者ではなかったにしろ、ウォレスやエドモンドに共通して言えるのは、信念、あるいは信仰の強さであり、メル・ギブソンは監督として真の勇気を観客に問いかけたかったのではないかと思います。確か2004年に制作され、上映前からも物議を醸したど同監督の映画「パッション」は、ズバリ、キリストの処刑をテーマにしたものです。今回の映画から昔見た「ブレイブハート」のいくつかのシーンを改めて思い出し、まだ見ていない「パッション」を見てみようと思いました。(この「ハクソー・リッジ」は監督としては確か5作目です。) なんとまあ、ネットで見ると、「パッション」の2作目も制作予定だとか、「ハクソー リッジ」に関するインタヴュー動画を何本か見ましたが、往年のあの若々しいハンサムな顔立ちは、どこに行ったの?と思いますが、エネルギッシュな話ぶりや オーラは健在で、さすがこれまで3人の女性に9人の子供を産ませただけのパワーがある人物だなと感心しました。

今回、戦争映画だけに見る前からその残酷なシーンや描写に覚悟をして臨みましたが、そのせいか割と冷静に見れました。やはり日本人なので、米兵が火炎放射器で日本兵を焼き殺す場面はとても悲しかったです。アメリカ軍の圧倒的な物量を見せられ、日本軍がもし同じだけの物量を持ち得ていたら、恐らくは勝っていただろうにと思いました。この映画では日本や日本兵そのものへの非難や蔑視などはなく、彼らの描き方もほとんどまともで反発や違和感はありません。1つ言わせて貰えば、日本軍の敗戦が決まった頃、沖縄戦の敗将、牛島中将を連想させる人物の切腹の仕方が簡単に描かれていたことです。これまで読んだ本での刀の差し方と切り方(作法)と比べると正確ではありません。日本人付きのスタッフがいたのは知っていますが、そこまで知識がある人ではなかったのか、簡略化したのかはわかりません。

「ハクソーリッジ」はアカデミー賞の2部門で入賞していて、それだからいうのではなく、キャスティングも上手く配され、脚本もよく、あれだけ爆発シーンや激しいアクションの中で一人も負傷者が出なかったのは驚きです。一番最後に、晩年のエドモンド・ドス本人や当時の上官などのインタヴュー動画も短く添えられ、エドモンド・ドスという比類なき勇者があれほどの惨たらしい戦火の中で実在したという感慨を深く味わい感動を覚えました。


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