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映画「沈黙」を観て•••••日本は宣教師の墓場? [映画]

もうかなり前に、バプティスト派の牧師さん(この方は滞在歴も長く日本語も堪能な方)から、「日本は宣教師の墓場だ」と話されるのを聞いて、強く印象に残っていた。この映画の原作は遠藤周作の「沈黙」である。残念なことに原作はまだ読んでいなく、映画の方が先になってしまったが、1つの作品としてどう感じたかを書いてみた。


映画全体を観終えて、内容や展開を予想していた前半よりも後半の方が興味深かった。主人公ロドリゲス神父が、彼を信仰に導いたと言える恩師フェレイラ神父が遠い日本で棄教したという知らせをマカオで聞くところから映画は始まる。主役はアンドリュー・ガーフィールドが演じているが、ついあのスパイダーマンかと思ってしまったり、4百年前の話なのに現代の青年の匂いがしてしまうのは私だけだろうか?彼なりに演技にははまっていたと思うのだが。スコセッシ監督が最初に考えていた、あのカメレオン俳優と異名を持つダニエル・デイ・ルイスの方があの時代の雰囲気にマッチしていると個人的には思います。彼ならば、生命の果てるギリギリのところまで神と対峙する悩める人間をもっと深く演じられたのではと想像します。


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実はこの「沈黙」の映画化の話を私がネット上で最初に見たのは10年ほど前だったように覚えている。当時長崎に居たこともあり、時の流行作家、遠藤周作氏の講演もそれよりずっと昔に一度聞いたこともあって映画化を期待する気持ちが高まりました。しかし、どういう経緯かその話がたち消えてしまい、再び、今度は映画の完成のニュースを昨年9月か10月ごろに知った次第です。


だいぶ話がそれましたが、キリシタンではありながら何度も踏み絵を踏む「転ぶ」行為を選ぶキチジロー役は、日本人の(勿論でしょうが)窪塚洋介が演じています。このキチジローはその度にロドリゴ神父に告悔(こっかい、英語ではconfession)を請います。こうした人間の弱さ、愚かさ、哀れさを彼はよく滲ませていましたが、懺悔を神父に何度も請い願う場面を見るうちに、これほど繰り返していくうちには、もっと彼の中で苦悩が深まっていくのでは、何かしらもっと変化が生じていくのではという疑問が湧いてきました。そこに映画の演出の物足りなさを感じます。キチジローがいかに厳しい環境に置かれ、教養もなく、人間の弱さを持った性格だろうとも、そもそも神という存在を自分の中に自分なりに認識したのなら、神に背く、つまり、信仰を否定したり自分の大切なものを何度か否定する行為は、その後の彼を変えていくでしょう。


演技力においては、井上筑後守を演じたイッセイ尾形がもっと巧みであったと思う。ロドリゴ神父に向かって放つ言葉、「お前はわしに負けたのではない、日本という沼地に負けたのだ」というセリフが印象的です。また「 村人たちはお前のいう神を信じているのではない、お前たちパードレを崇めているのだ」という内容の言葉は非常に示唆に富んでいる。中東で生まれ、西洋で広まったキリスト教は本当に日本という異なる文化、風土にある民に理解されうるのか? 最初に述べた「日本は宣教師の墓場だ」というある牧師さんの言葉が蘇ってくる。


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目の前で迫害を受ける隠れキリシタンたちの苦悩、非業の死をまざまざと見せつけられ、神はいるのか?何故、神は沈黙し答えてくれないのか?とロドリゴ神父は苦悶する。生きているロドリゴ、殺されていく信者達に為すすべも与えない神の全き「沈黙」と、信者達の命と引き換えには棄教せざるを得なかったロドリゴのその後の「沈黙」の生き様は彼の心の中でどう捉えられ解釈が成されたのだろうか?
最後のシーンはここでは言えないが、観る人に1つのヒントを与えていると言える。


棄教後の彼を語るナレーションの声が誰が語っているのかはっきりと分からないまま、最後のシーンまで釘付けになった。3時間ほどの長い映画であったが、途中で飽きがくることも無く、寧ろ時間の経過が早く感じられたのは、物語の引き回しが成功しているのだろう。見終わって、色々と補足説明が欲しいような気がしたので、やはり原作を読むしかないだろう。


最後に、映画のロケーションは、なんと台湾で行われたと分かった。日本ではコストがかかりすぎるのが大きな原因とネットに書かれていた。日本の海岸の景色かなと思えたが、アジアで日本にも極めて近い台湾の海や山が使われていた。

28年前に「沈黙」の翻訳本を読んだ時からこの映画化を望んでそれをついに叶えたスコセッシ監督の大いなる意志に大きな拍手と賛辞を捧げます。


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