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曽野綾子氏語る「日々、小さな目的を果たす大事」から考えた相模原殺人事件 [日記・雑感]

7月27日水曜日朝、産経新聞の曽野綾子氏のコラム「透明な歳月の光」を早速読んだ。
「 」の部分は原文そのままです。


今回のタイトルは「日々、小さな目的を果たす大事」だった。日本の戦後の貧困時代を知る氏にとっては、「今でも、洗濯機がある時代に生まれただけで幸福だ」と言われる。時々若い人に笑われても、「その素朴な感謝を失っていない」とも書いてあった。


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私の小学校の低学年の頃、その頃も九州では都会だった福岡市からずっと田舎だったA市に引っ越してきた。家にあった初期の、ハンドルが付いた輪転機のような洗濯機を見に隣の人がわざわざやってきたのをおぼろげに思い出した。綺麗好きな母はその後何年も布団のシーツに糊をつけることもあり、大きな金たらいを使ってゴシゴシ洗っている姿も蘇ってきた。昨年、次姉から、母は外から帰ってきた小学生の私たちの足を小さなたらいかで洗ってくれていたと聞かされた。家にはお風呂がなく、すぐ近くの銭湯に通っていたから、多分お風呂に行かない日はそうしていたのだろうか?姉に言われるまでは、私自身、ーその記憶はこの歳になるまで意識される映像として思い出せなかった。普段、私はかなり幼少期や子供時代のことはよく覚えている方だと思い込んでいたが、母が実際にしてくれていた行為をはるか彼方に見失っていたことに済まないと思う気持ちとともに、母のかけてくれた日々の愛情が有難く、あの頃の貧しい生活に切なさを覚えた。

曽野氏はさらに、贅沢な日本になった頃、「退屈ほど辛いものはない」と語っていたある初老の婦人の話を挙げ、「私は毎朝、今日中にすることが山のようにあって幸せだとしみじみ思う」とかかれる。ここからが私がはっと思ったことがある。「どんなろくでもないことでも、目的は目的だ。人間は目的があれば、生き生きと暮らせる。」と言われている点です。この考え、信念のある氏は、「私は今、1日に1つだけ気になることを解決するのを習慣にしている。食器棚にこびりついた汚れを取るだけでも『1日1膳』で、大目的を果たしたようないい気分だ。」とあった。


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高齢者となった私は、これまでの人生で自分のやりたいこと、好きなことをどれだけやれたか大いに戸惑いを覚える。よそ様と比較すると際限がないのだが、さしてこれといった成功談も無く、いわゆる地位も名誉も無く、山あり谷ありの不器用な人生を噛み締めている今日この頃です。曽野氏はお若い時から一貫してこういう考えの持ち主なのか、それとも80代を超えての処世訓なのかはっきりとはわからないが、これまで華々しい思いや成功を遂げたことがなく、成功を遂げなければ人生に勝利したとは言えないという強迫観念が抜けない今の私にとり、食器棚の汚れを取るだけでも大目的だとする考え方や生き方に感じ入りました。曽野氏の『日々、小さな目的を果たす大事』はつい挫折感を覚える私にとって新鮮で重みのある言葉です。そしてこの言葉の示す生き方は、途中の説明を省くと、つい昨日Facebookで読んだ、アドラー心理学で有名な岸見先生のインタヴュー記事に載っていた「働いていても、働いていなくてもその人の価値は変わらない」の考え方に繋がっていて、人間の値打ちや生き方の姿勢を新鮮な切り口で示してくれました。

このブログを書いている前々日に、日本史上最悪と言われる単独による殺人事件がありました。この犯人は26歳の若者で、その人物像や動機について今メディアで色々と分析や調査がされていますが、大胆でざっくりとした見方をすれば、かなりの精神異常性があるにせよ、戦後社会や教育の影響大といえます。それは物質至上主義と成果主義の落とし子です。憶測ですが家族間の愛情や情緖がなく、自分の本当の存在が宙に浮き、私にもある強迫観念が彼の中では歯止めがなく膨れ上がり、あのように悪魔的行為に走ったのでしょう。彼が何かしら挫折や苦しみを感じた時に、例えばキリスト教や仏教といった宗教に人生の指針を求められていたら、こんな殺人に手を染めることはなかったかもしれません。

その人その人なりの小さな目的を持って生きる、それがどんな仕事でもこの世の中の誰かに役立っていることに意義や誇りが持てること。健常者であれ、障害者であれ、一人一人が生きている価値や意味があることを改めて思い知らされました。「日々小さな目的を果たす大事」の深い意味を知り、この事件を自分なりに考えることが出来ました。


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